公開実験レポート

計算データの有無で
AI占いは何が変わるか

同一の出生情報をAIに渡す際、「計算済みホロスコープデータ(Swiss Ephemeris)を渡す場合」と「出生情報のみを渡す場合」で出力がどう変わるかを比較した実験記録です。

実験条件

対象AI:ChatGPT・Gemini・Claude の3モデル。各モデルに「計算なし(出生情報のみ)」と「計算あり(Swiss Ephemerisデータ付き)」の2条件でそれぞれ鑑定を依頼した。

プロンプト指示:バーナム効果低減のための厳格な同一プロンプトを使用。根拠明示を義務付け、計算不可な項目は「判断できません」とするよう指示。

目的:「どのAIが優れているか」ではなく、「AIに何を渡すか」が出力品質を決めるかどうかを確認する実験。

01

3モデル × 2条件 比較表

項目 ChatGPT
計算なし
Gemini
計算なし
Claude
計算なし
ChatGPT
計算あり
Gemini
計算あり
Claude
計算あり
計算精度・姿勢
ASC・ハウス 判断不可 判断不可 推算(誤差大) データ参照 データ参照 データ参照
月・水星・金星・火星 判断不可 判断不可 推算(実際と不一致) データ参照 データ参照 データ参照
アスペクト(度数・オーブ) 判断不可 判断不可 推算のみ 度数明示 度数明示 度数明示
不明項目への姿勢 正直に判断不可 最も保守的 推算で埋める
コンテンツ出力
才能・強み 判断不可 判断不可 推算ベース 配置根拠あり 配置根拠あり 配置根拠あり
つまずきパターン 判断不可 判断不可 推算ベース アスペクト明示 アスペクト明示 アスペクト明示
仕事・活動の向き 判断不可 判断不可 MC推算ベース MC山羊座根拠 MC山羊座根拠 MC山羊座根拠
トランジット・運勢
現在の流れ 判断不可 判断不可 判断不可 オーブ値明示 オーブ値明示 オーブ値明示
今日の使い方(朝昼夜) 判断不可 判断不可 判断不可 月運行で記述 月運行で記述 月運行で記述
31日間の流れ・注意日 判断不可 判断不可 判断不可 日付・アスペクト明示 日付・アスペクト明示 日付・アスペクト明示
小惑星 判断不可 判断不可 判断不可 データあり データあり データあり

※ 計算なし条件:出生年月日・時刻・出生地のみを渡した。計算あり条件:Swiss Ephemeris で計算済みの天体位置・ハウス・アスペクト・トランジット・小惑星データを含む。

※「データ参照」はAI自身が天体計算を行ったことを意味しません。渡されたYAML内の計算済みデータを正しく参照・反映できたことを示しています。

02

計算なし条件でのAIの姿勢

CHATGPT
正直な保留型
太陽・世代天体のみ明示。ハウス・月・アスペクトは判断不可と宣言し、根拠を列挙して一貫させた。
GEMINI
最小出力型
4条件中最も保守的。太陽獅子座以外は全て判断保留。不要な推測ゼロ。
CLAUDE
推算継続型
推算でASC・月を算出し13項目全て記述。最も読み応えがあったが、実際のホロスコープとの照合で主要配置に不一致が確認された。

計算なし条件では、ChatGPTとGeminiは「計算できないものは計算できない」を貫いた。Claudeは推算で全項目を埋めたが、基礎となる配置が実際のホロスコープと異なっていた。これはClaude固有の問題というより、計算済みデータが存在しない状態で占星術を扱う難しさを示している。出力の完成度と正確さは別問題——これが今回の実験の核心です。

03

AI別 詳細評価

CHATGPT
計算なし:正直な保留 / 計算あり:構造的・根拠明示
計算なし

太陽獅子座・世代天体4点のみ確定とし、ハウス・月・アスペクト・トランジット・31日間すべてを判断不可とした。根拠サマリーも整理されており、一貫して正直な姿勢を維持した。

計算あり

全13項目を精度高く記述。オーブ値明示のアスペクトを根拠として活用し、ハウス構造を地図として読むスタイルが顕著。計算なし条件と同一モデルとは思えない出力品質の差が生じた。

計算なし:一貫した判断不可 計算あり:ハウス構造の把握 計算あり:オーブ値明示 計算あり:補完的な表現が残る箇所あり

計算なし→計算ありの変化が最も劇的。計算済みデータを渡すと「整理された分析文書」として機能し始める。ChatGPTはデータを渡すほど「監査員」に近い読み方をするモデル。

計算あり出力から

「水星□海王星(オーブ0.52)——情報過多・理想化・相手を良く見すぎる・イメージ先行が起きやすい。アイデア段階では素晴らしくても、実務確認を飛ばすと誤差が出ます。」

GEMINI
計算なし:全条件中最も保守的 / 計算あり:詳細かつ丁寧
計算なし

6条件中最も保守的。太陽獅子座以外は全て「正確な計算データがないため判断できません」と回答。推測ゼロ。根拠なし解釈ゼロ。

計算あり

計算済みデータで、6H乙女座集中・7H天王星冥王星・小惑星まで活用した詳細出力に転換。計算なし条件の「ほぼ沈黙」からの落差が最大。

計算なし:全条件最高の保守姿勢 計算あり:小惑星まで活用 計算あり:一部バーナム表現が残る

計算なし→計算ありの落差がChatGPTと並んで最大。「AIが苦手なのではなく、渡すデータが全てを決める」を最も明確に示したモデル。

計算なし出力から

「正確な計算データがないため判断できません。(第2ハウス・MC・10ハウス支配星・太陽や水星への正確なアスペクト計算が必須となるため。)」

CLAUDE
計算なし:推算継続型(土台に誤差) / 計算あり:小惑星まで活用した深掘り
計算なし

全13項目を推算ベースで記述し、6条件中最も完成度の高い出力。しかし計算済みデータとの照合で、ASC・月・金星・火星など主要配置が実際のホロスコープと一致しなかった。

計算あり

計算済みデータで小惑星まで活用した深掘り読みに。他モデルが言及しない配置を複数拾い、解釈の文脈に組み込む。「読ませる文章」として最も機能するが、解釈が一歩踏み込みすぎる傾向も。

計算なし:文章完成度は高いが土台が異なる 計算あり:小惑星活用が最も積極的 計算あり:解釈が一歩踏み込みすぎる箇所

計算なし条件で「見た目の完成度と実際の正確さの乖離」が最も際立った。計算済みデータを渡すと、6条件中最も読み応えのある出力を生む。

計算なし出力から(推算ASC山羊座を前提に記述)

「太陽獅子座18° / ASC 山羊座付近という組み合わせが、このチャートの骨格です。……ASCが山羊座付近であれば、外界への接触様式は構造・責任・実用性を経由します。」(※ 実際のASCは牡羊座)

04

実験から見えたこと

FINDING 01

渡すデータの質が出力品質を決める
計算なし→計算ありの変化はモデルの能力差ではなく入力データの差。「AIに何を渡すか」が本質。

FINDING 02

文章の完成度と土台の正確さは別問題
読み応えのある文章でも、入力データなしでは占星術的根拠として機能しない。

FINDING 03

慎重なAIほど計算なし条件で判断を保留する
「わからない」と言えることは弱さではなく、正確さへの誠実さ。

FINDING 04

計算済みデータがあれば、どのモデルも機能する
計算あり条件での差はモデルの得意分野の違いにとどまり、精度という意味では3モデルとも等しく機能した。

計算あり条件での使い分けガイド
深掘り・読み応え重視 → Claude
構造的・根拠明示重視 → ChatGPT
慎重・誠実さ重視 → Gemini
計算なし条件で占いたい場合 → 太陽星座の範囲に限定して使う

※ 計算あり条件での差はモデルの得意分野の違いであり、優劣ではありません。計算なし条件での「判断不可」は弱さではなく正確さへの誠実さです。

本実験は「どのAIが優秀か」を判定するものではありません。同じAIでも、渡すデータによって出力品質が大きく変化することを確認するための実験です。